【その2】存在しないアイドルについて
今回製作したZINE「存在しないアイドル」のメイキングです。
メモを振り返ると、5/19時点で歌詞が5つできていました。
それらの歌詞は、主にこれまで書き残してきたメモを元に作成したものです。
私は普段からiphoneのリマインダーに気になった単語や面白いフレーズを残すようにしています。メモ機能は相当活用していて、とにかく思いついた瞬間に書き残すように癖をつけています。あとで読み返して<これは面白い!>と思う場合もありますし、まったく意味が分からないものもあります。ほとんどが後者です。
たとえばこんな感じ。
【6.9】
となりのアパートの住人は
掃除機の音がうるさいと扉の前にゴミを捨てるけど
夏になるとズッキーニをくれる惓んでる生んでる膿んでる
……と、なんだか気持ち悪いことを書いています。6.9は日付です。もちろん実話ではありません。
またはこんなメモも。
【6.20】
パン屋アイドル
キッチンカーアイドル
ネブライザー出所アイドル <しっこうゆうよ>
写真集「ほごかんさつ」曲「オツトメご苦労さま」
「迎えがねぇようだな」「兄貴の時代は終わったんです」「代紋磨いて待ってろよ」いつかのお昼寝 いくら釣れても割に合わない
ヤキいれて丹念 Amazonに年齢つかまれた
だいたい歌詞やアイディアを残しています。歌詞に関してはここから膨らませて書いては消し、を繰り返しながらつくっていきます。<しっこうゆうよ>はアイドル年表のページで使いました。「ネブライザー」は耳鼻咽喉科で使われている鼻から薬を吸引するマシンで響きがかっこいいなと思ってメモしました。
【存在しない名曲たち】(音楽ライターの叔父が残したノートに基づいて書いたという設定のZINE)も同じような作り方をしてて、まずはいくつか歌詞を書いて、それと同時進行で縦軸のストーリーを考えていきました。
【存在しない名曲たち】
https://shirufo.base.shop/items/106739304
今回のZINEは、最終的には【2011-20年の間に活動した一人のアイドルの足跡を追う話】というものになりました。
他の案としては【叔父が「作詞するアイドルを集めたコンピレーション・アルバムをつくろうとしていた」けど事情によって無くなった話】(複数のアイドル曲を取り上げる構成)、【最初は6人くらい居たのに最終的に一人になったアイドルグループの話】(その迷走ぶりが歌詞によってわかるという構成)というのもこの段階ではありました。プロット段階ではこのように一言で言い表せるような物語にしようというのは決めています。
<一人のアイドルに絞る>となったのは、展覧会のテーマをより深く掘り下げたいとなった時にその方が都合がよいと思ったからです。オマージュやネタっぽい要素をたくさん入れるというのは【名曲たち】で割とやったのもあり、笑える要素は入れつつもテーマに沿った物語を軸にしたいなと思いました。自分が普段考えていることや社会問題を入れ込んで、書き手の気持ちを乗せれる話にしたいなと。それで今回は「貧困」「シスターフッド」「トキシック・ファンダム」などの要素を入れています。
6月時点で決まっていたのは「貧困家庭にあるアイドル」と「こっくりさんが作詞した曲がある」という要素だけ。
まず曲が5つできていた、とは書きましたがそこから最終的に残ったのは「ヒコウ式アイドル」「であえ!忍法少女」のみ。物語が徐々にできていくと不要になったり蛇足になったり時系列に合わなかったりしてくるので、そうなったらまた新しく一から歌詞を書いていきます。
そういえば元ネタがわかりやすい「ハッピープアー(貧しい)ウェディング」というものもありましたが、ちょっとうまくいきませんでした。モー娘。の曲の語り部分<紹介します/ 証券会社に勤めてる/杉本さん……>のところは割と面白くなりそうだったんですが諦めました。<お父さんと一緒で朝からパチスロと競艇行って夜まで帰ってこないの……だってギャンブル好きの人に悪いとはいないって言ってたでしょ。……ね、お父さん?>みたいなクズ男のエピソードに変えたりして。
また、この時はまだ手作業で製本することも候補に入れていたのでページ数を節約するためにも曲数を「8曲」にするつもりでした。
家庭用プリンターでZINEをつくるというのをこれまでにやってきたのも良い経験だったと思います。プリンターはPIXUS TS8530で、インクが何しろ高い(買ったときはZINEをこんなにつくると思ってなかった)ので、いろいろと制約を設けて作っていました。
・フルカラーではなく、2色か3色に留める。
・裏映りを避けるためにもページ全面にインクが乗るような印刷はしない(写真とか)
・にじみも起きやすいので最小文字サイズを先に決める。
というようなことです。
実際に試しては直し、の繰り返しですね。大変でしたが制約があるぶん工夫のし甲斐もあってこれはこれで楽しいです。
そんなこんなでまた書きます!

イベントチラシ。
本当にあるチラシを参考にしています。

イベントの参加券やステッカー、チケット半券。
ステッカーはちゃんと貼れるようになってます。チェキ券だけじゃなくてビンタやハリセン、肩パンをしてもらえる券も。実際ありそうだなと思ってつくりました。

