歌詞について~きっとね!

普段、「歌詞」というものについて頻繁に考えている。

私は音楽をやっているわけではない。バンドをやったこともない。シンガーソングライターでもない。ギターは学生時代に買って、基本的なコードは弾けるけど譜面も読めなければキーがどうのとかよくわからない。

じゃあ何故考えているのか。

それは少し前に完成したZINEが「歌詞」をテーマにしたものだったからだ。

「存在しない名曲たち」

https://shirufo.base.shop/items/106739304

このZINEは、音楽ライターだった私の叔父・堀内六朗が失踪前に残したノート「存在する名曲たち」に記されていたテキストや歌詞を元に製作された。ページ見開きの左側にアーティストの経歴やエピソード、右側に代表曲の歌詞が記載されている。このノートを元に、失踪した彼の行方を突き止めたいと私(堀内しるし)は思っている……という活字のモキュメンタリ―作品となっている。

というわけで、昨年ぐらいから居もしないアーティストのことや、存在しない曲の歌詞をこつこつと書いていた。

いま振り返ると、私はこの行為を高校時代から始めていた。

中高生ともなるとポエムのひとつやふたつを秘密のノートに書きなぐることはよくあると思う。それこそ思春期というか、中二病の症状だろう。その書き溜めては破り捨てていたノートの詩は、私の場合つねに「Aメロ・Bメロ・サビ」のあるものだった。バラードかアップテンポなナンバーか、というのも一人で決めていた。
教科書で学ぶ詩よりも日常的に聴いているJ-POPの「歌詞」の方が身近だし面白いしということで、自分の中ではごくごく違和感なく自然に書いていた(ほとんど好きなバンドのパクリみたいなものだったけれど)十冊くらいは書き溜めたかと思う。

俳句に五・七・五の定型があるように、明確にブロック分けされた歌詞のリズムが気持ち良かったのだと思う。はっきりとサビのある邦楽はダサい、という考えもあるようだけれど、わかりやすい盛り上がりとベースのメロディが満ち引きのように繰り返される構造こそ邦楽の味わいのひとつじゃないだろうか。

大学時代にもそれを続けていて、アーティスト活動をしている友達と刺繍を作って路上やライブハウスで売ったりもした。それから専門学校期、フリーター期、就職期、実家に舞い戻り期を経て、巡り巡って今もやってしまってる。で、まだ一曲も作っていない。歌詞だけを書いている。

つくづく人間は変わらないものだと思う。

そんな私が、歌詞について思う事をこれから何回かに分けて書いていく。
ZINEの中身も紹介しつつ、いま取り組んでいる「存在しないアイドル」の進捗や、最近気に入った歌詞についても書いていきたい。

今回は中村佳穂さんの「きっとね!」の歌詞の一節を紹介して終わりにします。

シンプルでPOP。かつ前向きに見えて色々と深読みのできる、すばらしくよくできた歌詞だと思う。

(堀内しるし)

きっとね!秘密は多い方が

どうだろう!優しくなれるかも

いつかね!思い出した時に

苦しいくらいが丁度いいの

いき延びるたび いき延びるたび

秘密をあちこち街に隠したいの

いき延びるたび いき延びるたび

掘りかえしては味を確かめたいの 

いき延びるたび いき延びるたび

秘密をあちこち僕から見つけたいの

いき延びるたび いき延びるたび

とっておきの秘密を君に預けたいの

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