勉強会を終えて

trunkで【「トランスジェンダー問題」を読む】という配信番組を行った。


メンバーで美術作家の中島さんが企画し、膨大なスライドを元に本の内容とその意義などについて3日間にわたってみっちりとレクシャーしてもらった。そして、その「勉強会を振り返る」という形で座談会をネット番組で配信した。

前半

前半

後半

後半

PODCAST

ネット配信番組、SHIRU-SEE(シルシー)です。 この番組では、地方都市で暮らすみなさんの暗い「つぶやき」を拾いつつ、観た映画の話など日常について語りつつ、明日も明…

座談会当日のスライドは自分がつくり、司会は例のごとくまりりんにお願いした。
勉強会・座談会共に書籍の内容すべてをカバーできたわけでは当然ないが、メンバーのおかげで「トランス差別の反対」「トランスジェンダージャパン/東京トランスマーチとの連帯」というtrunkの意思を表明することはできたかと思う。


そういえば、当初はこの3回の勉強会をそのまま配信するつもりだった。

第1回の勉強会で、中島さんが60ページ超のスライドを用意してくれた。
レクチャーは三時間を超え、ZOOM録画しながら「これは分割配信になるな」なんてことをのんびり考えていた。
終了間近になった頃に、ハタと気が付いた。

作成してくれたスライドに「本文からの引用がとても多いこと」を。

しかしながら、これはまったく仕方のないことだった。
メンバー全員が本を読んだわけではなく、そしてまた(読んだ方ならばわかってくれると思うが)本文に触れずにざっくりと説明するわけにはいかない内容でもある。様々な事例を元に論が展開されているので、主旨だけをまとめたとしても説得力に乏しい。し、それはこの書籍が伝えたいであろう「現状」をカットすることになってしまう。だから本文の引用は必須である。でも、これを配信するのは当然ながら著作権的によろしくない。
……ということを、を60枚のスライドを消化しきってもらった末に、気が付いた。

そういうわけで、「座談会配信」になった。

ずっと配信をしている自分が、もっと早めに気付くべきだったと反省。
そして、秀逸なスライドだっただけに見せられないのがとても残念でもある。配信方法についても二転三転したし(参加者を募るのか?メンバーだけでやるか等)今後の教訓になった。


知識と技術のある人たちがいるので、自分は「発信」という部分でもっとがんばっていきたい。


今回はとにかく、中島さんの熱量がすさまじかった。
最初に60枚超のスライドを送ってもらった時に「これで3回分か…すごい量!」と驚愕つつ読んでいると「あれ……もしかして、これで1回分……」と思い至り、コーヒーカップを持つ手が震えた。その時にあらためて、これはしっかりと勉強しなきゃならないと襟を正した。そして、この感性というか、ほとばしる熱量(自分自身を追い込む。躊躇なく追い込めるところ)こそが作家の資質なのだなと、なんだか深く感動したのだった。

それから【マーシャ・P・ジョンソンの生と死】(ネットフリックス)、【最も危険な年】(手塚屋さんが配信チケットを買ってくれた)を視聴し、現代思想【インターセクショナリティ特集】を読み、過去の配信で扱った資料(神道政治連盟の配布した資料の件、中絶と緊急避妊薬、リプロダクティブヘルス/ライツ、LGBTQ+について等)を掘り起こし、訳者の高井さんの出演されているインタビュー記事を読み、ラジオを繰り返し聴いた。

いろんなことを考えた。
とても一言では言い表せないけれど、まずはこの本の存在を教えてくれた海さんに感謝(この本が発売されるというツイートを見た!)。

「トランスジェンダー問題〜議論は正義のために」という書籍のタイトルには皮肉が込められている。
メディアや政治の場で盛んに議論される「問題」は「トランスの問題」または「トランスが引き起こす問題」という捉え方で、本当に直視すべきであり議論の俎上にあがるべき「トランスの抱える問題」がまったく見過ごされている……という皮肉だ。
そして、その問題は現在起きている貧困や医療アクセスといった社会問題とつながっており、さらにその負担は人口のうち1%にもみたないトランスの人々に過集中している。それなのに、いまだ世の中は「トランスの問題」と謳い続けている。

このことについて思い出すのは、(決して適切なたとえではないだろうが)沖縄の基地問題のことだ。
基地問題は日本全体の問題であり、「沖縄の問題」ではない。もっといえば、「内地」の人間が沖縄に問題を押し付けてさえいる。それなのにメディアや政府は「沖縄基地問題」と言う。
同じように「トランスジェンダー問題」という時に「それは自分たちの問題ではない」とシスジェンダーの人々が思うのは、やはり間違っているのだと思う。


これからも考えて、だれかと話して、また考えていこうと思う。
trunkが続いていてよかったです。

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