お菓子と娘と、スピンオフ上映

3月末に【わたしたちのANTI-WAR songs】というラジオ収録企画を実施した。


秋田公立美術大学のアトリエももさだで行われた【#_SPRING】という反戦と非暴力をテーマにした展覧会で、その一部を借りて「反戦にまつわる音楽」を流した。
イベントに向けて、中島さん、海さん、ワタシがそれぞれ選曲。
反戦・世界平和を訴える曲、個人的にそういったメッセージを感じる曲という縛りで選んでいった。
ワタシが選んだのは前野健太【戦争が夏でよかった】真心ブラザーズ【拝啓、ジョンレノン】岡林信康【私たちの望むものは】など。
美大の建物内に自分の思い入れのある曲を大音量で流す、というのはとても刺激的な経験だった。

わたしたちのANTI-WAR songs


曲を選んでいる中で、ふいにCoccoの【お菓子と娘】を思い出した。
「きらきら」というアルバムに収録された曲で、そもそもは是枝裕和監督のライブツアー・ドキュメンタリー【大丈夫であるように~Cocco終わらない旅】で初めて聴いたものだった。
【お菓子と娘】は、沖縄のひめゆり学徒隊と結びついている。


https://himeyuri-and-hawaii.com/chapter2/p1/


一高女卒の先輩であり、明るく、都会的な話し方をする千代子は、生徒たちの憧れの的でした。千代子の授業は、教科だけにとどまらず、自由で楽しい雰囲気に満ちたものでした。生徒から歌のリクエストがあると、アルトのきれいな声で「お菓子と娘」を歌いました。


サイトに書かれているとおり、戦時中にひめゆり学徒隊を励まそうと引率の親泊千代子さんが歌った歌である。興味を持った方は是非調べてみてほしい。ひめゆり学徒隊のことも、地上戦の事も。


そして「お菓子と娘」で、さらに思い出した。
ワタシが社会活動をはじめたきっかけは、「沖縄のドキュメンタリー映画を観たこと」だったと。

三上智恵監督の「標的の村」、「戦場ぬ止み」。
いずれも東京でフリーター生活をしている時期にポレポレ東中野というミニシアターで観た。

その「戦場ぬ止み」で、ワタシは初めて映画館で泣くという経験をした。
泣いたんだけれども、それと同時に「何を泣いてんだ」と思った。
沖縄の現状について何も知らない、知ろうともしてなかった人間が映画館に来て泣いている。スクリーンに映る人たちを可哀想と思ったのか、自分が情けないと思ったのか、とにかく身勝手な涙だと思って腹が立った。
ただ、その時にワタシはたしかに「感動」したのだと思った。
感動したのだったら、そのあとに続く行動も「感動した後の自分」の行動として変わるべきだ。
でなければ、芯から感動したとはいえないのではないか。


これは結構、昔から思っていることで。
たとえば、エレファントカシマシというバンドがある。
ワタシ自身ずっと聴いているバンドで、ファンと言っていいと思う。
初期の純文学的・鬱屈した詞世界の頃も、近年の「生きていこうぜ」的なメッセージソングもどちらも好きだ。
そんな彼らの音楽を愛聴している人が、特殊詐欺をしてたらチグハグだと思う。
煽り運転をしていたらチグハグだと思う。


ばかばかしい、考えすぎだと思うかもしれない。
ただ、もしそんな人がいたとしたら(いるとは思うけど)、「感動した」ことにならない。ただ単に「聴いていただけ」。もちろん、悪いことではない。音楽とはただ聴くものだ。これは別にエレカシ的な価値観でまっすぐ生きろとか、ミヤジに影響された考え方になれとか、そういう話でもない。

あくまでもワタシは、感動したならそのように動いて証明したい。
そういう話です。


というわけで、ワタシは三上監督が現在行っている下記企画に参加したいと思う。


最新作『沖縄、再び戦場いくさばへ(仮)』製作応援のお願い


何とかして秋田市でのスピンオフ作品の上映を目指す。
映画館で泣いていただけの自分を、まずは外に連れ出そうと思う。

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